だい?ただみかん?

果樹

原集落の古い家には、小さな実をつける柑橘の木が植えられています。私が最初に住んだ原の借家の庭にも植わっていました。シークァーサーかと思って、近所のおばあさんに聞いたら、

「あれは ”だい”だ。」って言われました。

“だい”ねえ、そんな種類は聞いたこともありません。よく聞いてみたら台木を作る種を取る木だそうです。

集落の人に聞いた植物の名前は、おおかたがここだけで通用する名前で、検索してもまずヒットしません。バカギ、ケタンキもここだけで通用する名称で、バカギはウラジロエノキ、ケタンキはハマヒサカキのことです。

この間、隣の集落の知り合いが、「”ただみかん”のジャムだよ。」と言って持って来てくれたジャムは結構いけました。”ただみかん”ねえ。こんな種類も聞いたことがありません。だいとただみかんは一緒かもしれません。屋久島はかつては険しい地形に遮られて、集落間の行き来が少なく、集落間で言葉も通じにくかったようです。同じものに別の名前がついている可能性も十分に考えられます。

冒頭の写真は打ち捨てられた”だい”の木です。集落の”だい”の木はだんだん少なくなっています。ミカン農家でも苗は自家生産せず、鹿児島辺りから買っていますから。この木の使い方を知っている世代がいなくなったとき、”だい”という名前も忘れられてしまうのかもしれません。

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